直葬とは
ということを、よく聞かれます。
お客様も「直葬」という言葉は、何かしら耳にされたりでご存知ではあるものの、実際に直葬でしてみようかしら、という大半の方が「シンプル」であるというところからのお考えであるように思います。
直葬というのは「通夜、葬儀告別式を行わない」という言い方がよくされますが、本来は「行わない」というよりは「行えない」もしくは「行うにも参列される身内もいない」というような場合に使われていた言葉のようです。
いわゆる、身寄りもなく、孤独死の状況になり、いわゆる行政で荼毘に伏すまでを手続きに則っておこないうような葬送のカタチです。
また、過度に葬儀に費用をかけるようなことがある程度一般的な時代、(結婚式もそうでしたよね)、とはいえお家の事情は様々で、葬儀に他人様のようなお金の掛け方はできないという場合に、まさに誰にも言わず、身内を火葬だけするということも勿論あったわけです。
ただ、このいわゆるスタイルが、宗教心や葬儀へ費用を掛けることへの疑問、そしてそもそもなぜ多くの人に声を掛けなければならないのか?という疑問を抱く一定数の方はいらっしゃったわけで、そういうところから波及し、同じような考えの方がもちろん現れ、それはお金があるとか、ないとかの問題ではなく、こういうスタイルが自分たちには合っている、また故人が望んでいた、というケースも時代の変化に伴い、受け入れられてきたという経緯があります。
宗教家によっては、それは葬儀ではないし、故人を弔うような形ではないという方もいらっしゃいますし、一般の方でも、そんな送り方では故人が浮かばれない、可哀想だという持論を展開される方もいらっしゃいます。
これも否定するようなことではありません。葬送の儀礼として、日本は仏教でのお葬式が一般的だというのも、そもそも江戸時代くらいからの話で、そんなに長い歴史があるわけでもなく。
それが、今は自分たちに合った、というように選択できる時代になっただけのことであると私は思っています。
先に述べました、直葬という言葉がいわゆる「何もしない葬送のカタチ」というイメージが強いがためなのでしょう。
ですから、最近の直葬といっても、元来の直葬とは違って、たとえば「ご自宅からお見送り」ですとか、「式場を借りるけど、宗教家は呼ばない」というように、いわば葬儀社からすると「直葬」ではない「直葬」の形が一般的になってきたな、というように思います。
端的にいいますと、「無宗教の1日葬」です。
お別れの儀式をきとんと執り行う、荼毘に伏される最期の瞬間までいっしょにいる、こういうこともきちんとした儀式だと思います。
ですから、直葬という言葉だけのイメージにとらわれず、いろいろと我々に相談していただけたらな、と思っております。
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