精進落とし

「えっ、いま食べるの?」 これで大阪人の気質がわかる

お葬式に精進落しといえば、切ってもきれない関係なのはご存じだと思います。


最近は、その日に初七日もすませる方がほとんどなので、初七日法要がすむと精進落しを行います。
本来は、四十九日の法要(満中陰法要)のあとに召し上がるものです。
つまり、人が亡くなると忌明け(四十九日)まで肉や魚類の食事を断ち、忌明け後に初めて精進料理以外のものを食べる(日常生活に戻る)ということを意味していました。
現在ではこういう意味合いはなくなり、ご葬儀でお世話になった方々への感謝や労をねぎらうための会席となってきました。
これはこれで、なんとなく現代らしい考え方だなと納得できます。

しかし、大阪人はさらにその上をいくのです。

なかば習慣化しているようで、それが当たり前になってしまっているのですが…。

大阪市内の葬儀の流れを申しますと、まず出棺して火葬場で故人様が荼毘に付されましたら、一旦式場に戻られるか、もしくは斎場付近の仏事専門の料理屋に行かれる方がほとんどです。
収骨まで火葬場で待つご遺族はほとんどいらっしゃいません。
なぜなら、収骨まで2時間ほど待たなくてはならないからです。

大阪人の“せっかち”かつ“合理的”な気質から考えますと、待っていられないというのが本音ではないでしょうか。
それに大阪市内の火葬場は、待合ホールは大きくて立派ですが、食堂や喫茶店すらなく自販機がポツンとおかれている程度です。
もちろん、持ち込んで弁当を開くことも禁止となっていますので、収骨までボーっと待つということになります。

 

そこで収骨に行くまでの時間を利用して式場(もしくは火葬場近隣の料理屋)で精進落しを済ませてしまおうとなり、いつのまにかそれが習慣化してしまったのでしょう。
時間を無駄にしないというか、なんというか…。
本当に大阪人らしい発想のような気がいたします。
ですから、大阪市内の火葬場を利用されたご遺族のほとんどが2回火葬場へ行くことになるのです。

 

大阪市外では堺斎場や箕面斎場など地域によっては待合室(食事部屋)を完備している火葬場もございます。(詳しくは当社までお問合せください。)

 

そのかわり、利点もあります。
「すべての行事が終了する時間が早い」ということです。
初七日の法要がすみ次第、帰ることができますから、遠方のご親戚はその日に帰ることも可能というわけです。

 

大体、11時からのお葬式ですと終了時間が4時ごろ、正午からのお葬式ですと終了時間が5時ごろです。
やはりこの時間を希望される方が圧倒的に多く、なかなか式場や火葬場の予約がしにくくなるのも現実問題なわけです。

 

最近では式場まで帰らなくてもいいように、火葬場付近に仏事専門の料理屋さんも出現し、そこに立ち寄って食事を召し上がり、時間になると収骨に行くケースも増えてきました。
そうすると、式場まで戻る時間がカットされ、さらにゆっくり食事時間がとれ、温かいものは温かいまま召し上がることもできるというわけです。

考えてみれば、非常に合理的です。しかしねぇ…。

 

私も大阪人の一人ですが、本当に恐れ入ります。
この大阪人気質には…。