儒教編 韓流のお葬式

生野区では儒教式葬儀の知識がないと葬儀社をやっていけません

大阪市内の生野区という町は、在日韓国・朝鮮人の方が多い町としても有名です。
生野区民の22%が在日の方で、今では4世や5世の方もたくさんいらっしゃいます。
少し前までは韓流ブーム真っ盛りでしたので、コリアタウンといえばお分かりいただけるのではないでしょうか。今でも毎日のように、全国から観光に来られています。

 

昔は戦争など悲惨な出来事のために、強制的に日本へ連れてこられ迫害を受けながら生活をされてきたそうで、お亡くなりになると故郷のお墓に埋葬を希望される方がほとんどでした。

 

むこうでは土葬の風習でしたので、日本でご納棺をしたあとお柩を梱包し、日本でお通夜を行い、予約している日に空輸でお送りする母国葬送の儀が生野区では当たり前のように行われてきました。


現在でも年に一度くらいは希望される方がいらっしゃいます。
日本と韓国・朝鮮では食べ物も違うように、やはり風習が異なっており、葬儀のスタイルや考え方が違っています。
私どものように生野区で葬儀社を営んでいる以上は、韓国・朝鮮の葬送スタイルを熟知していないと話になりません。


当社の社員もお客様に「葬儀屋さん。あんたよう知ってるねぇ。韓国の人?」と感心されるくらいです。

儒教式葬儀とは

さて、どういった違いがあるのかと言いますと、韓国や朝鮮は儒教の国でしたので、在日の方は儒教のしきたりや習慣を日常の生活の中で取り入れておられ、お葬式や法事も儒教のしきたりや作法で行われるのです。

 

もちろん、日本も本来は朝鮮半島からの文化的な影響を受けていますので、儒教精神は多く残っています。
先祖を大切にする。目上を敬うなどはその典型です。


そのなかで、日本では現在、仏教にのっとったお葬式が九割を占めていますので、韓国・朝鮮の方は仏教式と儒教式をミックスして行っておられるのが現状です。

 

日本とのおもな違いといえば、

・病院でお亡くなりになると、絶対に家につれて帰られません。

・納棺のときにお着せする衣装が違います。

・納棺のときにご準備されるものが違います。

・お供え物が違います。

・祭壇前にテーブル(サン)をおいて、朝晩親族が集まって一人ずつ故人様へお酒を捧げます。

・すべての弔問者に食事を振舞われます。(大阪では弔問者には通夜振舞いをしないのが一般的になっています。
皆さん焼香をしたらすぐにお帰りになります)

・遺骨も同様に家でのご安置をせずに、お墓に埋葬するまでお寺などに安置なさいます。

・一年を通じて法事の回数がとても多いです。

など。

 

細かな内容に関しては紙面の関係上くわしく書くことができませんが、生野区で古くから葬儀社をやっているならすべて熟知していると考えてよいと思います。

 

最近では、世代も若くなり故郷のしきたりや作法などを省略される方も多くなってきましたが、ここにも守るべきもの変えるべきものがあるように思えてなりません。


守るべきものについては、やはり古い世代の方が教えてあげたらなぁと、在日の方のお葬式を担当させていただくたびに思います。

また、もう一つ思うことがあります。
在日の方は本当に目上の方を敬われます。お葬式のときに会葬者へお食事を振舞うのですが、若い方が中心となって動き回っています。片付けにしてもそうです。
本当に感心します。ここは日本人が見習うべきところなのではといつも思います。